建材事業部、主任のうっちゃんです。4月になり、新年度を迎えました。しそうの森の木には毎年、この時期になるとセグロセキレイやキセキレイなどの里山でよく見られる鳥のつがいが木材を積んで保管している倉庫の中に、頻繁に入ってきます。春は産卵、子育ての季節なので、巣作りをする場所を探しに来るのです。乾燥状態を保つため、木材は必ず一定のすきまを空けて積んであるのですが、その中でも巣作りにちょうど良い場所を見定め、卵を産んでいるようです。
おもしろいことに、朝私が出社して倉庫に近づくと・・・それまでエサを獲りに出かけていた親鳥が、私の姿を見つけて鳴くのです。「ピーピー、ピピピッ、ピッピ。」
これがまるで人間の言葉のようで「はやく倉庫の扉を開けてちょうだい!」と言っている風に聞こえるのですから、不思議なものです。
さらにおもしろいことに、もう10年以上のあいだ毎年々々、その年ごとにおそらく別の親鳥が巣作りをしに来ているのですが、同じように私の出社に合わせて、それを待っていたかのように「ピーピー、ピピピッ、ピッピ。」「はやく倉庫の扉を開けてちょうだい!」と鳴くのです。
毎年、知らない間に木材倉庫で巣作りをし、気づけばいつのまにか巣立っていくセキレイです。

さて、前置きがたいへん長くなりました。今回の「さんずんごぶ」のお話は・・・。
兵庫県神戸市にある、神戸市立森林植物園→神戸市立森林植物園 – 森林植物園は神戸市中心部から車で25分、六甲山の広大な自然を満喫できる樹木植物園です。
こちらの園内にある展示室の一角に、私が乾燥~加工まで担当したコナラ・クヌギなどブナ科の樹木をフローリング材に加工したものが使われています。以前訪れた際には地元の小学生と思われる小さなおともだちの皆さんが遠足に来ていました。
ええ、もちろんコナラフローリングの寸法は「さんずんごぶ」ですよ。
と言いたいところですが、今回の場合は広葉樹を使用した経緯もあり、曲がりや反りが大きかったので幅105mmでなく、少し狭めの101mmに仕上げました。原板の幅が同じなら、仕上げ幅を小さくした方が真っすぐに削りやすくなるからです。仕上げ幅に対して原板の幅がギリギリですと、なかなかきれいに真っすぐには仕上がりません。


以前、森林植物園の敷地内整備をするため伐採されたコナラの原木を広葉樹専門の他社製材工場にて製材していただき、その原板をしそうの森の木建材工場まで運んでいただきました。その時に、園内に生えていた樹木を加工し、同じく園内の展示室に使用する計画であることを教えていただきました。実際に見に行ってみると、見事な完成具合だったのでひと安心。


実は、このように黒い点のような虫食いのある板も混じっているのですが、現地で自然に生えていた樹木を使用している証拠なので、これはこれでそのまま使用します、とのこと。

こちらの神戸市立森林植物園は、元気かつ山を歩き慣れた人でなければ園内全体を歩いて回れないほどに広く、個人的にはそれが一番の驚きでしたが(笑)
ちょうどこれから暖かくなり、春から晩秋までの間にいろいろな花や樹木を見ることができます。もしかしたら、鮮やかな黄色のキセキレイにも出会えるかも知れませんね。
それでは、また。