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さんずんごぶのお話 10

2025/03/11

建材事業部、主任のうっちゃんです。令和7年1月よりスタートした弊社ブログですが、もう3月も半ばとなり、だんだん春の気配を感じることが増えて参りました。朝の気温が氷点下になる日がほぼ無くなってきており日中も過ごしやすくなりました。体感的には午後の作業中に少し暑く感じる日も。
こちら宍粟市山先町は兵庫県北西部に位置し、なおかつ周囲を山に囲まれ、いわゆる盆地と呼ばれる土地柄です。そのため冬は冷たい空気が溜まることでより寒く、夏は風が通らずより一層暑くなる気候が特徴です。また、宍粟市の中でも平地があったり標高の高い山間部があったりと、市内を流れる一級河川揖保川を中心にいろいろな自然の姿を見ることができます。今回の「さんずんごぶ」のお話は、そんな厳しい自然条件の中で製造されている杉のフローリング製品のお話です。

これは、しそうの森の木の中では定番かつロングセラー商品となっている、杉上小節・複層(すぎじょうこぶし・ふくそう)フローリングの元になる原板(げんばん)です。「複層」という名の通り、丸太の外周に近い部分を製材した薄~い2枚の板をボンドで張り合わせて厚みを増してあるのがこの製品の特徴です。よく見ると、板と板の間に白い色のプツプツとした点のようなものが見えますが、実はこれが接着に使ってあるボンドなのです。製造工程の中で、規定量のボンドを塗布した板同士を重ね、大型の機械でプレスをかけます。すると、板の内部にまでボンドが入り込み十分な強度が得られます。同時に、板の端部分からは少し余分がハミ出してきます。私たち製造現場の作業員は、このボンドのハミ出し具合を常に目視で点検し、ボンドの塗布量が適正であることと、機械のプレス圧力が適正かつ安定して掛かっていることを確認します。
と、言葉で言えばこのような解説になるのですが、ところがどっこい、難しいのは春夏秋冬の季節の移ろいに他なりません。昔から「二十四節季七十二候」と言い、なんと日本には季節が72個もあるのです。複層フローリングの製造工程において、温度・湿度の管理は他の製品よりなお一層、気を配らねばなりません。作業中の目視点検でボンドの塗布量やプレスの圧力を確認した後、今度はプレスを掛ける時間と、プレス後に機械から原板を取り出した後の乾燥・養生時間を見極めなければいけません。特に最後の乾燥・養生の工程中どうしても、真冬の極寒の日があったり、湿度の高い雨の日などを迎えてしまうこともあります。対策をする為に倉庫内での保管場所を日々変えたり、時には扇風機やヒーターを使用することも。
と、いうような事で、木材製品を扱うには気遣いと木使いはイコールなのです。

幾多の困難を乗り越え完成した杉上小複層フローリング。製品の仕上がり寸法はもちろん「さんずんごぶ」の幅105mmとなっておりますが、このヒミツ★の寸法「さんずんごぶ」が何を隠そう、山の樹木を育てる過程で産出される間伐材を製材し、有効活用した商品の証だと言えるのではないでしょうか。


次回の「さんずんごぶ」のお話も、ぜひお楽しみに。
それでは、また。

内海 拓也の人物写真

建材事業部主任

内海 拓也

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